平成12年度行政書士試験問題    解答



[問01] 次のアからカまでの記述のうち、法規範の特徴につき述べたものはいくつあるか。

ア 人間の行動選択の基準となり得るものである。
イ 国家によるサンクションを伴うものである。
ウ 崇高な理想のもとで高貴な人間となることを期待したものである。
エ 人間間の愛情が基礎となっているものである。
オ 行為者自らの意思に委ねられているものである。
カ 社会秩序の維持を目的としたものである。

1.二つ
2.三つ
3.四つ
4.五つ
5.六つ

[問02] 次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.現行法は、法規の条文のみから成るが、法規の形式にはいろいろなものがある。
2.法規の条文を限定解釈することは良いが、拡大解釈することは正しくない。
3.現行法を成す成文法(法規)と不文法(条文でない法)とは、全く対等であるという考え方が今日では普通である。
4.現行法の内容は、今後の立法によって変わるほかに、法解釈によってもかなり変動していくことがある。
5.司法裁判所の判例は、確定的な現行法である。

[問03]次の記述のうち、「自由とその制約」についての考え方が他と違うものはどれか。

1.賭博をするのは本来幸福を追求する行為だが、勤労の美風を害し経済秩序を乱すので、賭博は処罰されるべきである。
2.シートベルトを締めないのも本来は自由だが、交通事故による死傷者を確実に減らせるよう、着用を義務づけるべきである。
3.他人のものを盗みたいからといって、もとより他人のものを盗む自由があるわけではなく、窃盗行為は処罰されるべきである。
4.行政書士になりたいからといって、直ちにその業務ができるわけではなく、法律に定められた資格者だけが行政書士になれる。
5.お酒を造るのも本来は自由だが、国の重要な収入源である酒税を確実に徴収できるよう、無免許の酒造行為は処罰されるべきである。

[問04]次の記述のうち、日本の最高裁判所の判例の趣旨に適合するものはどれか。

1.地方公務員の政治的行為を制限する法律は、民主的政治過程を支える政治的表現の自由の侵害であるから、違憲である。
2.国の法律をまたずに、地方公共団体がデモ行為を禁止する条例を定めるのは、集会・結社の自由の侵害であるから、違憲である。
3.いわゆる定住外国人に、地方公共団体の長や議会の議員等に対する選挙権を付与する法律は、国民主権の侵害であるから、違憲である。
4.地方公共団体の議会がその議員に対して行った除名処分は、議会の自律権を尊重すべきであるから、裁判所による審査の対象にはならない。
5.地方公共団体が靖国神社に玉串料等を奉納する行為は、両者のかかわり合いが相当とされる限度を超えており、違憲な公金支出である。

[問05] 次の記述のうち、日本国憲法の規定にないものはどれか。

1.公務員を選定し、及びこれらを罷免することは、国民固有の権利である。
2.何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
3.何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護士の出席する公開の法廷で示されなければならない。
4.何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
5.国会の会期中に議決に至らなかった案件は、後会に継続しない。

[問06] 次の記述のうち、「主権」という用語が他とは違う意味で使われているものはどれか。

1.ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
2.政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。
3.天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
4.国民主権の原理は、国政が国民の厳粛な信託によるものであることを意味する。
5.高度の政治性を有する国家行為は、司法審査になじまず、国会等の政治部門の、最終的には主権者たる国民の、政治責任において行われるべきである。

[問07] 次のうち、それを設置することが日本国憲法において明文で規定されているものは、いくつあるか。

ア 人事院
イ 会計検査院
ウ 公正取引委員会
エ 国家公安委員会
オ 行政裁判所

1.一つ
2.二つ
3.三つ
4.四つ
5.五つ

[問08] 行政立法についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1.行政立法は、行政庁の処分と並んで公権力の行使であり、公定力・不可争力などの効力が認められる。
2.罪刑法定主義の原則により、行政立法で罰則を設けることは、法律で個別・具体的な委任がなされている場合でも、許されない。
3.行政立法は政令、省令、訓令、通達などからなるが、いずれも行政機関を法的に拘束するものであり、裁判所はこれら行政立法に違反する行政庁の処分を取り消すことができる。
4.行政立法が法律による授権の範囲を逸脱して制定された場合には、裁判所はその行政立法を違法とし、その適用を否定することができる。
5.地方公共団体における法律の執行は、その長の定める規則に委任されるのが原則であり、条例により法律を執行することはできない。

[問09] 行政強制についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1.無許可営業をしている者の不作為義務については、営業停止命令を出すことにより作為義務に変更すれば、行政代執行法に基づき代執行をすることができる。
2.代執行などの行政上の強制執行と、行政罰はその目的を異にするから、同一の義務違反に対し、強制執行と行政罰を併用することは可能である。
3.即時強制は公権力の行使であるから、公定力を有し、私人は権限ある機関にその取消し・差止めを求める以外の方法で、これに抵抗することはできない。
4.取消訴訟、国家賠償請求訴訟という公法的な救済制度は、法効果を有する行政処分に限定されるから、行政強制に関する救済制度は、民法の不正行為法となる。
5.行政庁が私人に対し強制を加えるためには、事前に私人に対し作為義務を課していることが必要であり、目前急迫の障害に対処するのは刑法上の正当業務行為である場合に限られる。

[問10] 私人が公物につき、所有権を時効取得できるか否かに関する次の記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5のうちどれか。

ア 国有財産法では、行政財産について法律行為による私権の設定を禁止し、違反行為を無効とするとともに、時効取得も禁止していることから、公物についての時効取得は認められない。
イ 国または公共団体は、私有の公物につき時効取得をすることが認められていないのであるから、私人にも公物の時効取得は認められない。
ウ 公物の所有権は国公有たると私有たるとを問わず私法上の私的所有権であるから、公用廃止前でも、何らの負担のない所有権を時効取得できると解するのが最高裁判所の判例である。
エ 公物の保護によって確保される公的利益と時効制度の適用によって確保される私的利益を比較すると、前者が優先すると考えるべきであるから時効取得は一切認められないと解するのが最高裁判所の判例である。
オ 公共団体に所有権を移転することが予定されていた予定公物を、国から譲り受け、それが無効であることを知らないで占有していた者に、時効取得を認めるのが最高裁判所の判例である。
カ 公物であっても、長年の間事実上公の目的に使用されず、公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合など黙示の公用廃止があったとみられる場合には、行政庁の明確な公用廃止の意思表示がなくても、時効取得できるとするのが最高裁判所の判例である。

1.ア イ
2.イ ウ
3.ア エ
4.ウ カ
5.オ カ

[問11] 行政事件訴訟法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.行政事件訴訟法によれば、「行政事件訴訟」とは、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟および越権訴訟をいう。
2.行政事件訴訟法によれば、行政庁の不作為を争うことはできない。
3.行政事件訴訟法によれば、取消訴訟は、処分または裁決があったことを知った日から3か月以内に提起しなければならない。
4.行政事件訴訟法によれば、取消訴訟は、必ず審査請求を経てからでなければ提起することができない。
5.行政事件訴訟法によれば、取消訴訟は、処分または裁決の相手方に限って提起することができる。

[問12] 次の記述のうちに、現行法上正しいのはいくつあるか。

ア 行政手続法および行政手続条例では、法律または条例の規定に基づかない行政指導は許されないものと定められている。
イ 行政手続法は、地方公共団体の行政指導には適用されない。
ウ 行政手続法は、法律に基づく地方公共団体の行政処分には原則として適用される。
エ 行政手続条例は、地方公共団体の行政処分だけを対象にする。
オ 行政手続条例が、地方公共団体における行政手続について、行政手続法と異なる内容の定めをすることも許されないわけではない。

1.一つ
2.二つ
3.三つ
4.四つ
5.五つ

[問13] 行政手続法に定める標準処理期間に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.標準処理期間は、行政庁が申請を正式に受理した時点から進行する。
2.標準処理期間は、許認可等について諾否いずれの処分を行う場合であっても、その応答をするまでに通常要すべき標準的な期間とされる。
3.標準処理期間には、申請に対する補正指導の期間は含まれず、その間は標準処理期間の進行は停止するというのが通例の取扱いとされている。
4.標準処理期間には、行政庁が申請に際して行うことがある事前指導の期間は算入されない。
5.標準処理期間は、審査の進行状況や処分の時期の見通しについて申請者から問い合わせがあったときに、行政庁がその回答を準備する期間も含む。

[問14] 行政上の聴聞手続における当事者の権利として、主宰者の許可がなければ行使できないものは、次のうちどれか。

1.文書等の閲覧権
2.行政庁職員に対する質問権
3.聴聞調書・報告書の閲覧権
4.陳述書の提出権
5.代理人の選任権

[問15] 行政不服審査法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.日本国憲法が施行される以前には、行政不服審査法に対応する法律は存在していなかった。
2.行政不服審査法が定める「不服申立て」には、異議申立て、再異議申立て、審査請求および再審査請求の4つの種類がある。
3.行政不服審査法によると、外国人の出入国または帰化に関する処分についても不服申立てをすることができる。
4.行政不服審査法によると、行政庁の処分についての異議申立ては、「処分庁に上級行政庁があるとき」にすることができる。
5.行政不服審査法によると、行政庁の不作為については、申請者は、異議申立てまたは審査請求のいずれかをすることができる。

[問16] 行政不服審査法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.行政不服審査法によると、不服申立ては、他の法律に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、書面を提出してしなければならない。
2.異議申立ての場合は不服申立書は一通でかまわないが、それ以外の不服申立ての場合には、不服申立書は正副二通を提出しなければならない。
3.法人でない社団または財団で代表者または管理人の定めがあるものは、その名で不服申立てをすることができる。
4.多数人が共同して不服申立てをしようとするときは、二人をこえない総代を互選することができる。
5.不服申立ては、代理人によってすることができる。

[問17] 新地方自治法に定める事務配分に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.従来、地方公共団体の機関は国の事務と団体事務とを処理していたが、前者は、機関委任事務といい、後者には、公共事務、団体委任事務、行政事務の区別があった。新地方自治法により、地方公共団体は、法定受託事務と自治事務とを処理することとされている。
2.新地方自治法により、地方公共団体は、地域における事務およびその他の事務で法令により処理するものとされるものを処理することとなった。
3.法定受託事務は、法令の定めるところにより、国の各大臣の権限に属する事務の一部を都道府県が処理することとされた事務と、条例の定めるところにより、都道府県知事の権限に属する事務の一部を市町村が処理することとされた事務との、二つからなる。
4.新地方自治法により、かねて団体事務の内容をなすとされていた公共事務、団体委任事務、行政事務の三区分は廃され、従来、必要事務と随意事務とされていた区分が意味を増すことになった。その場合、前者は法定自治事務、後者は非法定自治事務である。
5.新地方自治法により、従来、機関委任事務とされていた事務のうち、そのほぼ45%が法定受託事務となり、残りの多くが法定自治事務となったが、他に国の直接執行事務に変わりあるいは事務自体が廃されることになったものがある。

[問18] 地方公共団体の自治立法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.地方公共団体は、条例により法令に対し上乗せ的な規制を定めることができるが、そのためには法令の個別的授権が必要である。
2.地方公共団体の長は、行政立法である規則を定めることができるが、それには条例の授権が必要である。
3.地方公共団体は、給付行政やサービス行政については、要綱で住民に義務を課すことができる。
4.地方公共団体の行政委員会は、その権限に属する事務につき、法律の委任に基づき規則を定めることができる。
5.地方公共団体の長は、行政組織の内部の定めとして、規程を定めることができるが、それは必ず公開しなければならない。

[問19] 次の記述のうち、現行の地方自治法上で正しいものはどれか。

1.地方公共団体が、各「公の施設」の住民による利用が有料・無料であるにかかわらず、施設の設置自体を条例で規定しなければならない。
2.各「公の施設」の設置につき条例が制定されていれば、その使用料の額は地方公共団体の長の規則だけで定めることができる。
3.「公の施設」の設置につき条例が制定されていれば、住民による使用申込および使用承認の制度は、各施設の処務規程で定めるのが普通である。
4.「公の施設」の管理を公共的団体に委託することは、条例に定めがなくても、当該団体との委託契約で定めることができる。
5.「公の施設」の管理を他の地方公共団体に委託することは、条例に定めがなくても、地方公共団体間における事務委託の契約により行うことができる。

[問20] 地方公共団体における外部監査制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.外部監査制度には、包括外部監査制度と個別外部監査制度とがあり、前者は、都道府県、指定都市、中核市、特例市では必置とされているものである。
2.外部監査人になることができる者は、弁護士、公認会計士、税理士に限られる。
3.包括外部監査制度は、法定必置の地方公共団体以外は、条例により設置することができる。
4.外部監査制度が設置された地方公共団体については、これまでの監査委員は、条例の定めるところにより、廃止することができる。
5.包括外部監査人をおく地方公共団体は、個別外部監査人をおくことはできない。

[問21] 青色申告に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.青色申告の制度は、申告納税制度を定着させるために導入されたもので、所得税、法人税、消費税、相続税などの主要な国税について採用されている。
2.青色申告は、納税者の帳簿書類に記載を信頼する制度であるから、青色申告の承認を受けている納税者の申告については、帳簿書類の調査をして、計算に誤りのある場合に限り、更正をすることができる。
3.青色申告の承認を受けている納税者の提出した申告書に、記載の信頼性を疑わせる記載が発見されたときは、税務署長は、特別の手続をすることなしに、推計により課税することができる。
4.給与所得についても、納税者は、青色申告を行うことにより、特定支出控除などの特典の適用を受けることができる。
5.青色申告に対して更正する場合にも、更正の理由を付記することは要求されていないが、制度の趣旨から、理由の提示を求められた場合には、書面により理由を提示することが義務づけられている。

[問22] 地方税に関する次の説明のうち、正しいものはどれか。

1.東京都が平成12年3月に条例を制定して、一定の金融機関に対して外形標準により課税しようとしているいわゆる「銀行税」は、法定外普通税の一種である。
2.地方税法が税目を掲げて課税を認めている法定税以外の法定外の課税は、現在まで一貫して普通税に限り許容されている。
3.固定資産税の税率について、地方税法は100分の1.4の標準税率を定めているが、市町村は、制限税率100分の2.1の範囲内で税率を定めて課税することができる。
4.地方消費税の課税標準は、国税の消費税額であり、その税率について、地方税法は100分の25と定めているが、都道府県は、特別の財政上の必要がある場合に限り、100分の30の範囲内で税率を定めることができる。
5.地方消費税は、都道府県税であって、国税の消費税とは別に、都道府県が自ら賦課徴収を行っている。

[問23] 次の記述のうち、1999(平成11)年改正の施行後における行政書士法に関して、誤っているものはどれか。

1.行政書士試験は、何人(なんびと)でも受けることができる。
2.指定試験機関が行政書士試験委員を選任する場合には、自治省令で定める要件を備える者でなければならない。
3.行政書士会および日本行政書士会連合会がそれぞれの会則において、行政書士の受ける報酬に関する定めをすることは法律上認められていない。
4.行政書士会および日本行政書士会連合会は、行政書士が業務に関して受ける報酬について、統計を作成し公表するよう努めなければならない。
5.行政書士会は、会員である行政書士が事務所の所在地を変更したときは、その都度、都道府県知事に報告するものとする。

[問24] 行政書士制度について次の記述のうち、現行法上正しいものはどれか。

1.他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を作成し、その書類の提出を代行することを業とするためには、行政書士の資格を有していなければならない。
2.弁護士、弁理士、社会保険労務士となる資格を有する者は、法律により行政書士となる資格を有する。
3.日本国籍を有しない者は、行政書士となることはできない。
4.日本行政書士会連合会に登録を拒否された者は、自治大臣に対して、行政不服審査法による審査請求をすることができる。
5.行政書士業務は、個人には限られず、法人も行政書士業務を行うことは可能である。

[問25] 次の業務のうち、行政書士が他人の依頼に応じ報酬を得て、業として適法に行うことができるものはどれか。

1.特許庁に対し特許・実用新案等の出願手続を代理すること。
2.不動産の登記または供託の手続について代理すること。
3.自動車税、ゴルフ場利用税等の税務書類の作成を行うこと。
4.社会保険に関し、行政機関等に提出する申請書類の作成および提出代行を行うこと。
5.裁判所、検察庁または法務局に提出する書類の作成を行うこと。

[問26] 行政書士の業務に関する次の記述のうち、現行法上で正しいものはいくつあるか。

ア 行政書士が作成できる書類は、官公署に提出するものに限られる。
イ 行政書士が作成する「事実証明に関する書類」には、実地調査に基づく図面類も含まれる。
ウ 行政書士は、書類の作成について相談に応ずる場合には、無報酬でしなければならない。
エ 行政書士が許可申請書類を作成しても、許可申請を代理することまでは法律上業務として明記されていない。
オ 行政書士は、みずから作成した行政庁に対する不服申立書に関する事件については、不服申立ての代理人になることができる。

1.一つ
2.二つ
3.三つ
4.四つ
5.五つ

[問27] Aは、BにA所有の絵画を預けた。判例によれば、次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.Bが、この絵画を自己のものだと偽ってCに売却した場合、この売買契約は無効である。
2.Bが、この絵画を自己のものだと偽ってCに売却した場合、AがBの行為を追認したときは、絵画の所有権はBからCへ移転する。
3.Bが、この絵画を自己のものだと偽ってCに売却した場合、Bにこの絵画の所有権がないことにつき善意・無過失のCが、占有改定によってBから引渡しを受けたときは、Cは、この絵画の所有権を取得することができる。
4.Bが、何の代理権もないのにAの代理人だと偽ってこの絵画をCに売却した場合、CがBに代理権ありと信じるにつき正当な理由があるときは、表見代理が成立する。
5.Bが、何の代理権もないのにAの代理人だと偽ってこの絵画をCに売却し、その後にAがBを相続したときは、AはBの行為につき追認を拒絶することができる。

[問28] 物権変動に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア A所有の甲地につきBの取得時効が完成した後に、Aが甲地をCに譲渡した場合、Bは登記なくしてCに対抗できる。
イ A所有の甲地がBに譲渡され、さらにAB間の譲渡の事実を知っているCに譲渡されてCに所有権移転登記がされた場合、Bは登記なくしてCに対抗することができる。
ウ A所有の甲地がBに売却され、さらに善意のCに売却された後、AB間の売買契約が詐欺を理由に取り消された場合、Aは登記なくしてCに取消しを対抗することができる。
エ A所有の甲地がBに譲渡されたが甲地には賃借人Cがいた場合、Bは登記なくしてCに対抗することができる。
オ A所有の甲地がBに譲渡されたが甲地には不法占拠者Cがいた場合、Bは登記なくしてCに対抗することができる。

1.一つ
2.二つ
3.三つ
4.四つ
5.五つ

[問29] 債権者取消権(詐害行為取消権)に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア 債権者は、債務者の財産から満足を得られない場合には、債権取得前に債務者が行った贈与契約を詐害行為として取り消して財産を取り戻すことができる。
イ 不動産が二重に譲渡されたため、第一の買主が不動産の引渡しを受けることができなくなった場合には、第一の買主は、債務者と第二の買主との間で行われた売買契約を詐害行為として取り消すことができる。
ウ 債務者の財産状態が離婚に伴う相当な財産分与により悪化し、債権者の満足が得られなくなった場合には、債権者は財産分与を詐害行為として取り消すことができる。
エ 債務者が第三者に金銭を贈与したことにより、自己の債権の満足が得られなくなっただけではなく、他の債権者の債権も害されるようになった場合には、取消債権者は自己の債権額を超えていても贈与された金銭の全部につき詐害行為として取り消すことができる。
オ 債権者は自己の債権について、詐害行為として取り消し、受益者から取り戻した財産から他の債権者に優先して弁済を受けることができる。

1.一つ
2.二つ
3.三つ
4.四つ
5.五つ。

[問30] 出張先の大阪で交通事故に遭い負傷したAは、東京在住の友人の弁護士Bに加害者Cと示談契約を締結してくれるよう依頼した。次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.AがBに通常の報酬を約束した場合には、Bは、善良なる管理者の注意をもって示談契約交渉にあたる義務を負うが、Bが無報酬または通常より低廉な報酬で仕事を引き受けた場合には、自己の財産におけると同一の注意義務を負うことになる。
2.AがBに報酬を支払うことを約束した場合には、AB間の委任契約成立後AB間の信頼関係が失われるような事態になったとしても、Bに義務違反がないかぎり、AとBとの委任契約を解除することはできない。
3.Bは、Aの承諾を得なければ、自己の信頼する他の弁護士に自己に代わってCとの示談契約の締結を委任することができない。
4.AB間で報酬を支払う旨の約束があった場合でも、加害者Cが自己の責任を認めず示談交渉が決裂したときは、BはAに報酬を請求することはできない。
5.Bは、Cとの示談契約を成立させるまでは、Cとの示談交渉にのぞむために東京から大阪に出張するための交通費等の諸経費をAに請求することができない。

[問31] 戸籍法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.届出義務者が疾病その他の事故により自ら出頭できない場合には、代理人による認知の口頭届出が認められる。
2.市町村長の過誤により戸籍の記載に錯誤または遺漏がある場合には、市町村長は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍の訂正をすることができる。
3.戸籍の筆頭者およびその配偶者以外の者は、成年に達したときは分籍をすることができる。
4.父が嫡出否認の訴えを提起した場合には、判決の確定をまって出生届をする。
5.水難、火災その他の事変によって死亡した者があるときは、その取調べをした官公署は、死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。

[問32] 住民基本台帳法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.市町村は、住民基本台帳を備え、日本国籍を有するすべての住民につき所定の事項を記録しなければならない。
2.住民基本台帳は、原則として世帯を単位とする住民票を作成するが、市町村長が適当であると認めるときは、個人を単位とすることができる。
3.子が出生したときは、世帯主は転入届をしなければならない。
4.住民基本台帳法に定める届出は、書面によっても口頭によってもすることができる。
5.戸籍の附票の記載、消除または記載の修正は、住民の届出をまって市町村長がこれを行う。

[問33] 商業登記に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.会社の代表取締役の退任および代表権喪失は、その旨を登記することによって善意の第三者に対抗できる。
2.商号の譲渡は、その登記をするのでなければ、商号譲渡の効力は生じない。
3.合名会社または合資会社の社員が社員たる資格を失ったときは、退社の登記の有無にかかわらず資格を失った後の会社の債務につき責任を負う必要はない。
4.会社は、その本店の所在地において登記することによって成立する。
5.外国会社が営業所設置の登記をしなければ、その営業所による取引は無効になる。

[問34] 取締役の第三者に対する責任についての次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らして誤っているものはどれか。

1.この責任は、第三者保護の立場から取締役が悪意または重過失で会社に対する義務に違反し、よって第三者に損害を被らせた場合に負うものであるから、取締役の任務懈怠の行為と第三者の損害との間に相当の因果関係がなくても、取締役が賠償責任を負うことになる。
2.この責任に基づく第三者の取締役に対する損害賠償請求権は、10年で時効消滅する。
3.取締役が、その職務を行うにつき故意または過失で直接第三者に損害を加えた場合には、第三者は不法行為の規定により取締役に対して賠償請求することができる。
4.非常勤のいわゆる社外重役として名目的に取締役に就任しているにすぎない者でも、この責任を負わされる場合がある。
5.この責任に基づく損害賠償責務は、履行の請求を受けたときから遅滞に陥り、年5分の割合により遅延損害金を支払わなければならない。

[問35] 就業規則と労働協約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.個別の労働契約において、就業規則に定める初任給より低額の初任給を支払う旨の約束をした場合には、個別契約の方が優先する。
2.使用者は、就業規則の作成または変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては、その労働組合の同意を得なければならない。
3.就業規則と労働協約の協定事項とが抵触する場合には、就業規則が優先する。
4.労働協約の有効期間を定める場合には、3年を超えることができず、3年以上の有効期間を定めた労働協約は無効である。
5.期間の定めのない労働協約は、当事者の一方が署名した文書により、解約しようとする日の少なくとも90日前に予告することにより、一方的に解約することができる。

[問36] 次の文章は、ある最高裁判決の一節である。これを読み、( A )( B )(漢字各2字)に当てはまる最も適当な語句を入力しなさい。

  一般に許可制は、単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて、狭義における職業の( A )の自由そのものに制約を課するもので、職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定しうるためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、また、それが社会政策ないしは経済政策上の( B )的な目的のための措置ではなく、自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的、警察的措置である場合には、許可制に比べ規制によっては右の目的を十分に達成することができないと認められることを要するもの、というべきである。

[問37] 下記の三つの文章中のワク内に、行政法の専門用語を入れて完成しなさい。次に、A・B・Cに相当する漢字各1字を、後記の解答用語欄の当該部分に入れ、未記入部分を推測して、法学上の専門用語を完成させなさい(解答は答案用紙に記入すること)。

1.国民に一定の行為をしてはならない義務を課す命令的処分を|A| |という。
2.処分の名宛人でない第三者が、処分が適正に行われることによって受ける利益は、|B| | | | |であり、法が直接に保護する利益ではないとされてきた。
3.申請に対し、形式上の要件を審査するだけで、有効な国民の行為として認める行政庁の処分を| |C|という。

  解答用語欄  |A|B| |の|法|C|

[問38] 次に示す行政手続法上の「行政指導」の定義のうち、( A )( B )に当てはまる語(漢字各2字)を入力しなさい。

  「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、( A )、助言その他の行為であって( B )に該当しないものをいう。」

[問39] 下記の標題中の空欄に入れるべき適切な漢字4字による語を考え、記入しなさい。

  [標題]行政書士の業務に関する| | | | |と公正保持

  下記の法令条項は、全体として、上記の標題に示された原則を表していると解される。
(1)行政書士法(以下「法」という。)第10条の2 「行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。」
(2)行政書士法施行規則(以下「施規」という。)第10条 「行政書士は、依頼人から報酬を受けたときは、……正副2通の領収証を作成し、正本は、これに記名し職印を押して当該依頼人に交付し、副本は作成の年月日順につづって5年間これを保存しなければならない。」
(3)施規第6条第1項 「行政書士は、その業務を行うに当たっては、公正でなければならず、親切丁寧を旨としなければならない。」
(4)施規第8条 「行政書士は、正当な事由がある場合において依頼を拒むときは、その事由を説明しなければならない。この場合において依頼人から請求があるときは、その事由を記載した文書を交付しなければならない。」
(5)法第9条第1項 「行政書士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名その他都道府県知事の定める事項を記載しなければならない。」

[問40] 以下の文中の空欄に入る法的主張を20字以内で答案用紙の解答欄に記入しなさい。

  Aは、未成年者B(18才)と不動産の売買契約を締結した。Aは売買契約の締結に際して、Bが未成年者でないかどうかBに確認したところ、Bは、生年月日を書き直した戸籍抄本を提示したので、それにより成年であることを確認した。Aに落ち度がなかったとした場合に、Aは、Bの行為が詐術に当たるとすると取消権不存在を、欺罔に当たるとすると詐欺による取消しを主張できるが、この他に、違法にあたるとするとBに対して(   )を主張することも考えられる。

[問41] 次の各組のカタカナを漢字表記にしたとき、1〜5の各組で、その語句すべてに同じ漢字が含まれているのはどれか。

1.・審査会のカンコク    ・カンショウ退職
   ・社会のカンシュウホウ  ・加入のカンユウ
2.・新知識のフキュウ    ・責任のツイキュウ
   ・首長へのヨウキュウ   ・問題点へのゲンキュウ
3.・損失のホショウ     ・減価ショウキャク
   ・戦争のバイショウキン  ・債務の担保のホショウキン    
4.・許可のシンセイ     ・開示のセイキュウ
   ・議会へのセイガン行動  ・新規工事のウケオイ
5.・ブンケンの調査     ・社会にコウケンする
   ・ケンシンテキ努力    ・該当項目をケンサクする

[問42] 次の文章中の[ ]のある漢字を正しい漢字にした熟語を考えたときに、すべてが正しいものは1から5のうちのどれか。

  専門の文学者の書く日本語には、さすがに誤りと名づけうる箇所は少ないとして、これが一般の学生諸君の答案やレポートになるとひどい。たとえば試みにこの3月に大学を卒業する、かなり優秀な数人の書いた論文の中から、それぞれ漢字の誤りを指摘してみると、指適・[徴]妙(びみょう)・低辺(ていへん)・[複]帰(ふっき)・[違]棄(いき)・[説]定(せってい)・粉争(ふんそう)・裁培(さいばい)・括抗(きっこう)・背[影](はいけい)・純[料](じゅんすい)など、ざっとこういった種類をあげることができる。(石田英一郎 「東西抄」より)

1.微光   復活   遺言   設計   景気   粋人
2.徹夜   復習   貴重   接触   契機   麻酔
3.微笑   拝復   遺書   摂取   傾向   垂直   
4.顕微鏡  背腹   遺失   接種   模型   精粋
5.徹底   報復   委細   設立   図形   心酔

[問43] 次の文章の( ア )から( エ )に入ることばの組合せとして、正しいものはどれか。

「である」論理から「する」論理への推移は、必ずしも人々がある朝目覚めて突如物の考え方を変えた結果ではありません。これは、生産力が高まり、交通が発展して社会関係が複雑多様になるに従って、家柄とか( ア )とかいった素性に基づく人間関係に代わって、なにかする目的で―その目的の限りで取り結ぶ関係や( イ )の比重が増していくという、社会過程の一つの側面にほかならないのです。近代社会を特徴づける社会学者のいわゆる( ウ )―会社・政党・組合・教育団体など―の組織は、本来的に「『する』こと」の原理に基づいています。そうした団体の存在理由が、そもそもある特定の目的活動を離れては考えられないし、団体内部の地位や( エ )の分化も仕事の必要から生まれたものであるからです。(出典 丸山真男 「『である』ことと『する』こと」)

 
1 階級 体制 目的集団 業績
2 同族 制度 地域集団 業績
3 階級 体制 目的集団 職能
4 同族 制度 地域集団 機能
5 階級 体系 地域集団 価値


[問44] 次の枠内の一文を下記の文章に挿入したい。( ア )から( オ )までの最も適当なところはどこか。

  もし現代が過去の集積の頂点であるならば、現代はつねに人類文化の頂上でなければならないし、従って過去を探求すると言うことは、ただ現代の源流を知的に認識し、これを確証すること以外に意味はないはずである。

  「古典を読むということは、故人の言葉に耳を傾けることである。同時に、古典は過去の長い年月にわたって多くの人々に尊重され、愛好されたものであるから、古典を読むということは、それら古典を受け継いだ人々の心をも読むことを意味する。
  人は他人の伝記を読むことによって、人生の指針を与えられることが多いが、同時に、またそれ以上に自己の生活の回顧や反省によって、己の行くべき道を知ることが多い。自国の古典を読むということは、それと同じ意味で、自己を正しく知り、現在の自己を拡充する大切なよすがである。古典は、鏡に映された民族の自らの姿である。己の姿を見るのに、これに自惚れたり、これに卑屈であったり、またこれを歪めることがあってはならない。」
  ( ア )古典に対するこの私の見解には、一つの常識的な歴史観が根底に横たわっている。( イ )それは、現代は過去の集積の頂点ではないという考え方である。( ウ )そして歴史はただ進化し、発展すると考えられるであろう。( エ )ところが事実はこれに反して、歴史には伝統の遮断があり、知識の停頓退化があり、暗黒の時代があり、光明の時代がある。( オ )故に歴史の探求は、ただ現代の確認のためにあるのではない。それは人間がうかつに落とし忘れたものを拾い探すことである。(出典 時枝誠記 「国語教育における古典教材の意義について」)

1.( ア )
2.( イ )
3.( ウ )
4.( エ )
5.( オ )

[問45] 次の文章の最後の空欄に入る文として、1から5のうち適当なものはどれか。

  ある言語の明晰性とは、その言語の構造に由来するのか、その言語を用いる人々の心性、言語の扱い方に由来するのか。これら二つの因子は互いに独立するものではなくて、相互に原因結果的に結ばれているものであろうが、二つの面をいちおう分けて考えることができる。
  たとえば、本多勝一氏が例として掲げておられる『朝日新聞』の記事の次の一文を考えてみよう。
   運輸省の話では、シンガポール海峡は、東京湾、瀬戸内海のように巨大船の航路が決められ、対抗船が違うルートを運行するよう航路が分離されていない。(1975.4.19)
  本多氏がこの文例についてそれが不明瞭だと指摘しているのは、「この記事によると、東京湾と瀬戸内海は航路が分離されているのか、いないのか」、それがはっきりしないという点である。氏は運輸省に問い合せて、東京湾と瀬戸内海では対向船の航路が分離されていることを確かめた上で、それならば然るべく措置すれば明晰になると、次の文例を提案しておられる。
   運輸省の話では、東京湾と瀬戸内海では巨大船の航路が決められ、対向船が違うルートを運行するよう分離されているが、シンガポール海峡は分離されていない。
  上の二つの文例はともに日本語の文であり、そこに用いられている語彙素材は同じであり、ただ文の構成の仕方が少々異なるだけである。「少々異なるだけ」ではあるが、一方の文に不明瞭な点があり、他方の文ではその不明瞭性が除かれている。日本語という同一の言語を使っていながら、これだけの差異が生じるということは、(      )。(出典 川本茂雄 「ことばとこころ」)

1.やはり日本語は、明晰さを欠くといわざるを得ない。
2.日本語が明晰を欠くというのではなくて、むしろ日本語を使う人の心掛けの方に問題があるということになる。
3.日本語の明晰性について、結論を出すことは不可能ということになる。
4.いずれにしても言語というものの表現には、限界があるということの証明であろう。
5.文章を読む側が十分心して置かねばならないということであろう。

[問46] 文章中の「平衡感覚」の説明として、最も適当なものはどれか。

  都市・村落を通じて、昔は共同体社会の内部に、寸鉄人を刺すことわざの類が、実に豊富に用意されていた。成員個々のちょっとした行為や発言が、共同体内の一定の枠を越え、よきにつけ悪しきにつけて人目をひくと、長老や先輩達の口からすかさず状況に密着した評言として、ことわざの類が飛びだす。おのずと成員たちの言動はあるべきようにコントロールされ、群れのうちに異端者の生まれる萌芽は、未然のうちに摘みとられることになる。こうしたしつけが、共同体内での教育の大本であった。
  ところでことわざにはいまでは評判がかんばしくないものもあるけれども、ことわざをそれぞれ単独で取上げて、その機能を評価するのは間違っている。というのは、たとえば「長いものには巻かれよ」というのがある。封建的な無気力さを表すものとして、いつも例にあげられてきた言葉であるが、いっぽうではこれと正反対に「一寸の虫にも五分の魂」といい、個人の意地を示すものもりっぱに存在している。要するに、ことわざはAを説けば必ず非Aをいうものがあり、それら互いに相反しあうものを集めて束にしたもの、個々のことわざを積分したものが、共同体内の生活の枠組であった。
  ひとつひとつのことわざは、人の世の真実のもつ個々の側面を照らしだし、真実はこれらことわざ群の全体で象徴され、その束の中間に浮かんでいる。それらは共同体の機能が正常に作動しているかぎり、その内部の平衡感覚によってあるべきように存在してきたわけである。(高取正男 「日本的思考の原理」より)

1.共同体内部において、目立つ行為や発言をさせないように、異端者を排除すること。
2.共同体内部の結束をかためることで、対外的な競争力を充実させること。
3.共同体の成員教育のために、正反対のことわざをきちんと準備しておくこと。
4.正反対のことわざの存在により、一方的でないものの見方を可能にすること。
5.物事の真実は相対的なもので、正反対のことわざのように、その場で考えればよいこと。

[問47] 各国の統治機構の特徴を述べた次の記述のうち、妥当のものはどれか。

1.市民革命を経て近代市民国家を確率したフランスは、西欧諸国のなかで最も分権的な性格を有している。
2.アメリカ合衆国は厳格な三権分立と連邦主義を憲法原理としているため、行政国家化の傾向はほとんど見られない。
3.議会主義が発達したイギリスでは、成文憲法に基づいた議会の内閣に対する優越性の原理が徹底している。
4.日本の行政官僚制は、その割拠的な構造に悩まされながらも、第二次大戦後まで官僚制優位の構造を持続した。
5.ドイツの連邦政府は、大統領制と議院内閣制の混合であるが、EU加盟に伴って、連邦を代表する大統領の権能を著しく強化した。

[問48] 比例代表制における議席配分の方式として、わが国ではドント式が採用されている。これは各党の得票数を1、2、3‥‥という整数で割り、その商の大きい順に議席を割り当てる方式である。仮に議員定数6人の選挙区でA〜Eの5党の得票数が、A党:66,000票、B党:42,000票、C党:33,000票、D党:24,000票、E党:21,000票であった場合、5党のうち、6議席目が割り当てられる党はどれか。

1.A党
2.B党
3.C党
4.D党
5.E党

[問49] 明治国家の形成期において三つの基幹的な制度が整備された順序を並べたものとして、正しいものは次のうちどれか。

1.大日本帝国憲法の発布−帝国議会の開設−内閣制度の発足
2.大日本帝国憲法の発布−内閣制度の発足−帝国議会の開設
3.帝国議会の開設−内閣制度の発足−大日本帝国憲法の発布
4.内閣制度の発足−大日本帝国憲法の発布−帝国議会の開設
5.内閣制度の発足−帝国議会の開設−大日本帝国憲法の発布

[問50] 環境問題への取組みに関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1.政府は、1967年に制定した公害対策基本法において、経済の健全な発展よりも生活環境の保全を優先させる方針を確立した。
2.1970年末に開かれた通称「公害国家」において、公害対策基本法が改正されるなど、公害関係14法が成立した。
3.1960年代後半にはじまった四大公害裁判はすべて原告側の実質勝訴となったが、公害健康被害補償制度が確立されたのは1980年代半ばになってからである。
4.地方公共団体の公害対策は国に先行して進展をみせ、環境庁が設置される以前にすべての都道府県が公害防止条例を制定した。
5.1970年代に起きた石油ショックにもかかわらず、環境庁設置後の国の環境政策に後退が見られることはなかった。

[問51] 介護保険制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.介護保険は、国民全体で、要介護状態または要介護状態となるおそれのある状態に対して、広く国民の負担で給付を行おうとする保険制度であって、20歳以上の者は、免除要件に該当しない限り、保険料を納付または負担しなければならない。
2.介護保険にあっては、65歳以上の者も、保険料を納付しなければならない。
3.介護保険は、国全体で統一した運営をすべきであるという考え方にたって、その保険者は国とされ、市町村および特別区は、その執行について協力する立場に位置づけられている。
4.介護保険の保険給付を受ける者は、経済的にも苦しいのが普通であるので、介護サービスに要する費用の全額を保険給付でまかなう原則が採用されている。
5.介護保険の保険給付の対象となる介護サービスは、国または地方公共団体の提供するサービスに限られ、民間事業者のサービスは対象とされていない。

[問52] 次の国の中で、欧州連合(European Union)に加入しているものは、いくつあるか(2000年4月現在)。

a イギリス
b スイス
c ギリシャ
d イタリア
e リトアニア

1.一つ
2.二つ
3.三つ
4.四つ
5.五つ

[問53] 国の会計に関する次の説明のうち、正しいものはどれか。

1.国の会計は、一般会計と特別会計とに分かれているが、特別会計は、一般会計と区別して経理する必要のあるものを、一つの「特別会計」にまとめて経理するものである。したがって、特別会計としては、一会計のみが存在している。
2.日本において、国の会計年度は、それぞれの組織の実情に応じて決めることとされており、一般には、4月1日から翌年の3月31日までであるが、なかには、暦年の会計年度を採用している省庁もある。
3.国の会計は、一括して経理処理をする必要があるので、日本では、大蔵省がこの処理の任に当たっている。
4.日本銀行は、国庫金出納の事務を行うこととされ、日本銀行が受け入れた国庫金は、国の預金として扱われる。
5.国の決算については、会計検査院の審査が行われるので、国会への報告、国会における審議は行われない。

[問54] 下の表は、平成7年度から平成9年度までの国民所得と租税負担額等を示したものである。次の説明のうち正しいものはどれか。

1.平成8年度の前年に対する国民所得の増加率は2%を超えていない。
2.平成9年度の一人当たり国民所得は、平成7年度の一人当たり国民所得よりも減少している。
3.平成7年度から平成9年度まで、租税総額に占める地方税の比率は、一貫して35%を下回っている。
4.租税負担率(国民所得に対する租税の負担割合)は、平成7年度から平成9年度まで一貫して25%を下回っている。
5.平成9年度の一人当たり租税負担額は、平成7年度の一人当たり租税負担額に比べて減少している。

区分\年度 平成7年度 平成8年度 平成9年度
国民所得(億円) 3,807,146 3,909,926 3,903,767
国   税(億円) 549,630 552,261 556,007
地 方 税(億円) 336,750 350,937 361,555
租税負担計(億円) 886,380 903,198 917,562
総 人 口(万人) 12,536 12,578 12,611


[問55] 企業会計に関する次の説明のうち、正しいものはどれか。

1.企業会計においては、現金主義が一般的に行われており、適正に企業利益を算定するのに、この方法が最も適していると考えられている。
2.減価償却は、資産が実際に価値を減じたことを確認して行うのが原則であり、建物の場合には、破損等の事実を生じたときに限り、行うことができる。
3.損益計算書は、企業の特定の営業年度に発生したすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載し、その年度の純利益または損失を表示して、企業の業績を明らかにする報告書である。
4.貸借対照表は、特定の時点における企業の財産状態を表示するために、借方に借入金等の負債を表示し、貸方に貸付金等の債権を表示した表であって、財務諸表の一つである。
5.企業会計に関する会計処理の方法は、国や地方公共団体の会計全般においても採用されている。

[問56] 日銀短観に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.日銀短観とは、企業短期経済観測調査の略称であり、日本銀行が四半期毎に全国の主要企業や中小企業など9千社以上を対象に、業況の良し悪しの回答を求めるもので、業況が良いと答えた企業の比率から悪いと答えた企業の比率を差し引いた指数(業況判断指数)をもって景気の動向を測るものである。
2.日銀短観とは、業種別短期産業動向観測調査の略称であり、製造業・非製造業19業種を対象に、2か月毎に生産や販売実績などをもとに産業毎の業況について「好調」「堅調」「横ばい」「低調」「不振」の五段階評価を行うもので、業種毎の景況を把握し景気の先行きについて統括判断を行うものである。
3.日銀短観とは、短期国民所得観測調査の略称であり、四半期毎に国民所得統計を調査するもので、国民総生産の実績から物価変動分を差し引いた実質経済成長率を計算し、国全体の経済が成長しているかどうか、景気が良くなっているのか、悪くなっているのか、国民経済を構成する個人消費、民間企業の設備投資、政府支出や輸出から輸入を差し引いた外需のそれぞれが経済成長にどのくらい寄与しているか調査するものである。
4.日銀短観とは、短期国際金融観測調査の略称であり、2か月毎に、米国財務証券など外国政府の証券、外国企業の債券・株式を、国内企業・邦人がいくら購入したかを調査するもので、国内からの資金流出の規模を把握し為替・債券・株式の各市場における影響と動向を測るものである。
5.日銀短観とは、短期景気動向観測調査の略称であり、生産、雇用、消費動向など11の経済指標が3か月前に比べて改善したかどうかをもとに景気の方向性を調査するもので、景気の先行きを示す先行指数、現状を示す一致指数、景気回復の波及効果を確認する遅行指数の3指数が50%を超えれば「改善」とされる。

[問57] 放送と通信についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1.インターネットのプロバイダは放送事業者であり、放送事業としての規制を受けている。
2.無線による送信は、原則として放送事業であり、これに対し、有線による送信は原則として通信事業である。
3.猥せつポルノを放送すれば処罰されるが、ファックス通信で友人間でやり取りしている限り、処罰の対象とはならない。
4.放送は誰でも見られるように流すべきものであり、スクランブル(暗号)をかけて契約した者にしか見られないようにした場合には、通信事業となる。
5.商業用レコード・CDをかけて放送する場合、従来の放送局は報酬をはらって放送することができるが、デジタル放送を行う放送局の場合には、レコード・CD製作会社に許諾を得なければ放送できない。

[問58] 暗号・電子認証方式の利用についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1.伝統的な暗号方式である公開鍵方式に代って、現代では共通鍵方式という新たな暗号方式が用いられている。
2.2000年に成立した電子認証に関する法律において、認証機関としての役割は専ら国と地方公共団体が果たすことが定められた。
3.暗号方式によるセキュリティ確保は、NTTなどの電話回線・専用線の利用について用いることができ、インターネットなどのTCP/IPプロトコルでは利用することができない。
4.電子認証に用いられる暗号方式は、情報を秘密にする機能のみならず、情報の内容の真正性を証明する機能をも果たすことができる。
5.通信は国境を越えて流れるものであるから、暗号も国を超えて標準化がなされなければならず、暗号や暗号製品の輸出入について規制を設けることは、ガット・WTOの貿易協定で従来から禁止されており、アメリカも規制に反対している。

[問59] 食中毒に関する次の文章の( ア )から( エ )に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

  食中毒には、細菌性食中毒、化学性食中毒、自然毒による中毒などがある。以前から最も多かったのは細菌性食中毒であり、( ア )や病原大腸菌による感染型食中毒と( イ )や腐敗菌による毒素型食中毒および中間型に分けられる。感染型と毒素型のうち( ウ )は、汚染食品の中で原因菌がすでに多量に産生されているため、一般に発症に要する時間が短い。また、化学性食中毒には、メチルアルコールやその他の無機毒などの化学物質によるもののほか、環境汚染物質によるものもある。自然毒による中毒のなかで、死者が出るのは( エ )によるものが多い。

     ア        イ           ウ       エ
1.ブドウ球菌    サルモネラ菌  毒素型   フグ中毒
2.サルモネラ菌  ブドウ球菌    毒素型   フグ中毒
3.ボツリヌス菌   ブドウ球菌    毒素型  キノコ中毒
4.サルモネラ菌  腸炎ビブリオ  感染型   キノコ中毒
5.腸炎ビブリオ  サルモネラ菌  感染型   キノコ中毒

[問60] 集団の規模によってメンバー相互間で結ばれる関係の複雑さや密度が相当に異なったものとなる。一人のメンバーと他の一人のメンバーの間に生じた関係を1本の線で表すとして、すべてのメンバー相互間で同様に線を結んだ場合、メンバー数が12人であるときとメンバー数が15人であるときとで、結ばれる線の総数に何本のちがいがあるか。

1.12本
2.28本
3.39本
4.53本
5.78本



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